
【この記事の結論】
・40代高卒、数学赤点レベルでも電験三種は挑戦できる。
・「勢い」と「CBT受験」が最大の武器になる。
・理解できなくても過去問を回せば、現場での景色が変わる。
「電験三種なんて、頭の良いエリートが受ける資格でしょ?」
「高卒の現場作業員には、どうせ無理だよ……」
もしあなたが今、そう思っているなら、少しだけ私の話を聞いてください。
私は42歳、高卒。
毎日、油と汗にまみれて製造業の現場で働く人間です。
高校時代の数学や物理は、いつも赤点ギリギリ。
電気の知識なんて「オームの法則」をかろうじて覚えている程度でした。
そんな私が、無謀にも「電気工事士」を飛び越えて電験三種に挑んだリアルな記録をここに残します。
綺麗事は一切抜きです。泥臭い、40代現場職の真実を語ります。
「自分には無理だ」と諦めかけているあなたにこそ、読んでほしい。
電験三種を受けることになった経緯(勢い8割)
きっかけは、本当に些細なことでした。
2024年、会社から言われて渋々受験した「公害防止管理者(水質2種)」。
これが全ての始まりです。
11月中旬、合格が分かった瞬間、脳内に不思議な感覚が走りました。
「あれ、40代になっても勉強すれば、難しい資格って取れるんだな」と。
この小さな成功体験が、眠っていた好奇心に火をつけました。
「次は電気をやってみたい」
そう思った時、本当は第二種電気工事士を受けるつもりだったんです。
しかし、次の試験は半年も先。
「この熱が冷めてしまう……」
そう焦っていた時、目に飛び込んできたのが「電験三種」の申込期間でした。
内容はよく分からない。
どれほど難しいかも、本当の意味では理解していない。
でも、今の勢いを止めたくない。
私は、深く考えずに申込をし受験料を振り込みました。
申込み時点の正直な実力:絶望の「オームの法則」のみ
ここで、当時の私のレベルを正直に告白します。
- 数学:中学レベル(怪しい)
- 電気理論:オームの法則のみ
- 過去の栄光:なし(高校時代は万年赤点)
正直、「受かるイメージ」なんて1ミリもありませんでした。
参考書を開いた瞬間、見たこともない数式や記号が並んでいるのを見て、
冷や汗が出たのを覚えています。
今振り返れば、完全なる無謀。
でも、現場の人間って、たまにこういう「当たって砕けろ」的なノリが必要な時があるじゃないですか。
あの日、申し込んだ自分を、今は褒めてやりたいです。
CBT受験を選んだ理由:40代には「これ一択」だった
電験三種がCBT(コンピュータ試験)になってくれたことは、私にとって最大の救済でした。
理由は極めて現実的です。
まず、会場が近いこと。
家から一駅の場所で受けられるのは、体力的に限界に近い40代には大きすぎました。
そして何より、「4科目を1日で受けなくていい」という点です。
朝から晩まで集中力を維持するなんて、現場仕事でボロボロの脳みそには不可能です。
科目ごとに日時をずらし、前日はその1科目だけに全神経を注ぐ。
試験終了のボタンを押した瞬間に「点数が出る」のも、メンタル維持に役立ちました。
「よし、次だ!」とすぐに切り替えられるスピード感が、CBTにはありました。
過酷な勉強スケジュール:現場帰りの1日4〜5時間
勉強期間は約3ヶ月と決めました。
と言うか申込から試験まで3ヵ月しか無かっただけです。
どちらにせよ短期集中でないと、私の集中力は持たないと分かっていたからです。
ただ、人生で3ヶ月も勉強した事はありません。
本当に持つのかも怪しかったです。
平日のスケジュールはこうです。
- 朝:寝起きは勉強無理です
- 昼:休憩時間に参考書を眺める(15分でもいい)
- 夜:帰宅後、風呂と飯を済ませて4〜5時間
休日は、ひたすら机に向かい8〜10時間。
現場で重いものを持ったり、寒い中作業したりした後での勉強は、正直言って地獄でした。
文字を読もうとしても、目がかすんで焦点が合わない。腰が痛い。
それでも、「最低1時間は必ずペンを握る」。
その意地だけで、なんとか毎日を繋いでいました。
勉強開始直後に感じた「これはヤバい」という絶望
最初に手をつけたのは「理論」科目でした。
直流回路までは、「まあ、頑張ればいけるか」と楽観視していました。
しかし、そこから先が異世界でした。
交流、ベクトル、虚数、複素数……。
「電気って、こんなに数学が必要なの?」
「 虚数って何? 想像上の数なんて、現場で使わないだろ!」
心の中で叫びました。全く、これっぽっちも理解できないんです。
「これは本当にヤバいところに来てしまった」
と、青ざめたのを昨日のことのように思い出します。
それでも、勉強をやめなかった唯一の理由
普通ならここで心が折れます。
でも、私はやめませんでした。
理由は単純です。
「やり続ければ、いつか理解できる日が来るかもしれない」
そう信じるしかなかったからです。
今は分からなくても、100回読めば、101回目には何かが繋がるかもしれない。
ここで逃げたら、「自分で決めて申し込んだのに最後までやれない人間」と、後悔する気がしたんです。
後悔するのは嫌なので必死でした。
【実践】理解できなくても合格に近づく勉強法
私は賢いやり方を捨てました。
過去問を解こうとしても、最初は一問も解けません。
全部、勘。というか、解答を見ながら書き写すだけ。
解説を読んでも全く分からない問題は、「一旦飛ばす」ことにしました。
全部を理解しようとするから挫折する。
「理解は後回し、まずは暗記でもいいから回す」という強引な手法です。
ただし、「理論」だけは捨てるわけにいかない。
全ての科目の基礎になる理論だけは、ひたすら参考書と過去問を往復しました。
今だから言えますが、「テキストの熟読」は一番の遠回りでした。
読んで分からないなら、さっさと過去問へ行く。
「あ、この形、前も見たな」
その感覚を積み重ねること。それが私のような「凡人」の戦い方でした。
試験当日のリアル:CBT会場の静寂とマウス音
試験会場に向かう電車の中では、正直不安でした。
でも、PCの前に座ると、不思議と冷静な自分がいました。
「3ヶ月、あんなに目がかすむまでやったんだ。あとは結果を受け入れるだけだ」
CBT会場は独特です。
静まり返った部屋に、カチ、カチ……というクリック音だけが響く。
ペンとメモ用紙だけを頼りに、画面上の問題と格闘する。
一呼吸し最後のボタンをクリックする指が、少しだけ震えました。
電験三種で変わった「現場での景色」
合格して、何か劇的に給料が上がったわけではありません(報告してないし)。
でも、「現場での考え方」が根本から変わりました。
以前は、機械が止まれば「物理的な故障」ばかり探していました。
今は違います。
「欠相してないか?」「電圧降下?」「サーマルの設定値は?」
電気的な観点を含めて、頭の中で回路図が浮かぶようになったんです。
トラブルに対する判断が、勘ではなく、論理に基づいたものになった。
この「確信を持って作業できる感覚」こそが、資格を取って得られた一番の財産でした。
今、過去の自分に伝えたい言葉
「40代の自分へ。
仕事が忙しくて勉強時間が取れないなら、無理せず寝ていいぞ。
頭が付いていかなくて泣きたくなっても、ただ繰り返すだけでいい。
お前が思っているより、人間の脳はしぶといから。大丈夫、最後には繋がる。」
電験三種は、才能の試験ではありません。
どれだけ「泥臭く、試験当日まで向き合い続けたか」の試験です。
合格して一番変わったのは、給料でも役職でもなく、「自分はまだやれる」という自信でした。 学歴も年齢も、関係ありません。必要なのは「正しい戦略」と、今日一歩踏み出す「少しの勇気」だけです。
私にできたんです。あなたにできないはずがありません。
「自分には無理だ」と諦めそうになっているあなた。
高卒・赤点だらけの私でも、何とかここまで来れました。
次は、あなたの番です。
